近年,政策の立案・形成にデータ的根拠が求められるようになり,説明責任の観点から,地方自治の現場においても数値に基づく政策評価が必要とされている。しかしながら,多くの公務員は文系出身者であり,実践に耐えうる統計学を学ばないまま就職してきている。こうした現状をふまえて本書は,既に現場で働いている公務員のみならず,これから公務員になろうと考えている法学部生,公共大学院生といった文系学生へ向けて入門書として書かれている。
本書では上記のような読者を対象とすることから,数学的説明をシリーズ他書に譲り,「統計量の計算は統計ソフトにお願いしながら,『習うよりも慣れろ』で社会科学分野における統計を理解していく」というスタンスをとる。公的機関等から公表されている実際のデータを用いた例題を多数収録し,章末には練習課題・先行研究のレジュメ(論文の内容等を簡潔にまとめたもの)を作成する課題をつけた。レジュメの作成では,先行研究で統計分析がどのように用いられ,結果が解釈されているかを学ぶ。
政治学の統計分析入門書は,数値との親和性等から選挙研究を主にしたものが多いが,本書は選挙研究以外の分野にも配慮するとともに,世論調査を行う際での留意点など細かい実用的な情報もちりばめており,データ収集についても意識した記述になっている。
第1章 統計分析を行う前の準備
1.1 実験と調査
1.1.1 全数調査と標本調査
1.1.2 個票データと集計データ
1.2 尺度水準
1.2.1 名義尺度
1.2.2 順序尺度
1.2.3 間隔尺度
1.2.4 比率尺度
1.2.5 尺度間の関係
1.3 データセットと統計解析ソフト
1.3.1 データセットの作成
1.3.2 統計解析ソフトの活用
第2章 世論調査
2.1 調査の誤差
2.1.1 非標本誤差
2.1.2 標本誤差
2.2 世論調査とは
2.3 世論調査の調査手法
2.3.1 訪問面接法
2.3.2 訪問留置法
2.3.3 郵送法
2.3.4 電話調査
2.4 標本の抽出
2.4.1 多段抽出法
2.4.2 系統抽出法
2.4.3 名簿の閲覧(選挙人名簿の例)
2.4.4 ランダム・デジット・ダイヤリングによる抽出
2.5 回収率を高める工夫
2.6 パネル調査・比較調査
2.7 データ・アーカイブ
第3章 記述統計とグラフ表現
3.1 記述