いま心の研究領域で進行中の精神分析と脳科学を統合しようとする新たなムーブメントについて、その成り立ちと最新の知見を紹介する
2000年に国際学会が設立されたニューロサイコアナリシス(神経精神分析)は、精神分析とニューロサイエンス(神経科学)を統合しようとする新たなムーブメントである。一方は心理学的視点から、他方は医学・生物学的視点から、夢や感情、意識といったこころの諸現象に、両者を照応しながらアプローチすることにより、新たな知見をもたらしつつある。
日本での本格的な紹介はこれからだが、編著者らによるこの10年近くにわたる取り組みを一書にまとめ、ニューロサイコアナリシスの最新の知見も紹介するわが国初の入門書。
はじめに
第1章 ニューロサイコアナリシスの源流(岸本寛史)
「もう5時だね」
作 話
マーク・ソームズの視線
神経外科の病棟へ
当時の夢の基礎研究の状況
夢見の臨床解剖学
ソームズの研究成果の反響
第2章 ニューロサイコアナリシスのはじまりと展開(平尾和之)
はじめに
神経精神分析のはじまり
神経精神分析の展開
心理療法において脳の水準では何が起こっているのか?
神経科学の視点と精神分析・心理療法の視点を重ねること
神経科学は精神分析・心理療法に実りをもたらすのか?
おわりに
第3章 夢のニューロサイコアナリシス(平尾和之)
夢の神経科学にもたらされた二つの新しい知見
ホブソンによる夢の神経科学モデル
ソームズによる夢のドーパミン仮説
フロイトの亡霊?
ホブソンのフロイト批判――夢は隠すのではなく、露わにしている
ソームズの反論――夢=レム睡眠ではない
夢に潜在内容はあるのか?――精神分析の経験から
夢論争を通して見えてくるもの
精神分析と神経科学の両面から心/脳の現象を捉えること
第4章 ニューロサイコアナリシスの基盤(岸本寛史)
ニューロサイコアナリシスとは何か
歴史的基盤
哲学的基盤
科学的基盤
ニューロサイコアナリシスではないもの
第5章 ニューロサイコアナリシスから見たフロイト理論(岸本寛史)
検討に入る前に
フロイトの欲動概念
欲動の神経的相関物
フロイトの感情理論
感情の神