越境のア−ティスト 富山妙子

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アジアの「恨」を呼び覚ます美術家、富山妙子(1921~2021)とは。



今日、パレスチナへの連帯や関東大震災をめぐる国の対応への批判を示すべく、バッシングに晒されながらも発信するアーティスト、特に女性アーティストたちの姿がある。その先駆けとして、傍観者でいることに疑問を持ち続けた富山妙子(1921~2021)という画家がいた。その作品は、油彩・リトグラフ・コラージュ・映像作品など、多彩なメディアに富み、時代も境界も越えて反響していった。



差別意識と分断の溝がより深かった時代、富山を突き動かした感情とは何だったのか? 植民地で育ち、ポストコロニアル批判とフェミニズムの思想に立って、画壇に迎合することなく〝魂振りの巫女〟として歴史を伝え続けた富山妙子の生涯の功績を追う初めての書。



★ポイント

①代表的な作品を紹介するカラー口絵、年譜、著作一覧を収録。網羅的な画集のない富山の初の論考集。

②富山・執筆者との対談2本を再録。

③富山妙子99年の生涯を、芸術・社会学・ジェンダー学などさまざまな分野の執筆者陣が描き直す壮大な試み。

大連とハルビンで育ち、戦後は日本の戦争責任への自覚を契機に、炭鉱での搾取や韓国軍事政権下の光州民衆抗争、「慰安婦」問題をはじめとした作品群を残してきた富山妙子。無垢な魂を呼び出し癒す鎮魂曲としてのアートは、圧政下では連帯の象徴として伝播し、一方では観る者自身の足元を揺るがす問いかけとなった。また、東日本大震災発生後には原発問題にも目を向けるなど、生涯を通し社会的主題と向き合い続けた。油彩・版画・コラージュ・スライド・文筆など多岐にわたる表現方法は、型を拒み、己の信念に従い無主の海を「越境」し続けた人生を体現するかのよう。女性として、植民者の子として、アジアに生まれた一人の画家として、100年を凝視した富山妙子という人物に迫る。

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